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籠の鳥は、ド派手に飛び立つ。「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」を観た。

※ネタバレがあります。

 

 

予告編

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あらすじ

スーサイド・スクワッド」に登場して世界的に人気を集めたマーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインが主役のアクション。悪のカリスマ=ジョーカーと別れ、すべての束縛から解放されて覚醒したハーレイ・クイン。モラルのない天真爛漫な暴れっぷりで街中の悪党たちの恨みを買う彼女は、謎のダイヤを盗んだ少女カサンドラをめぐって、残忍でサイコな敵ブラックマスクと対立。その容赦のない戦いに向け、ハーレイはクセ者だらけの新たな最凶チームを結成する。マーゴット・ロビーが自身の当たり役となったハーレイ・クインに再び扮し、敵役となるブラックマスクをユアン・マクレガーが演じた。監督は、初長編作「Dead Pigs」がサンダンス映画祭で注目された新鋭女性監督キャシー・ヤン。(映画.comより引用)

 

感想

 映画「スーサイド・スクワッド」のいい部分の大半はマーゴット・ロビーハーレイ・クインが見られたところではないだろうか。しかし「スーサイド~」で描かれるハーレイ・クインのオリジンはジョーカーと恋に落ち、洗脳されるような形でクレイジーな行為をするようになり、文字通り「彼の色に染められる」、というもの。「おいおいおい完璧にその男別れた方がいいやつだぜ」と言いたくなってしまった。そして実際にジョーカーと別れた(というか彼に捨てられた)後のことが描かれているのが本作である。

この映画のハーレイ・クイン、本当にいい。自分の身が危なくなったら子どもでも売ろうとする、びっくりの倫理感のなさなのだが、不思議と許してしまう魅力的なキャラになっているのだ。今までジョーカーの恋人ということで許されていたが、ジョーカーの後ろ盾を失ったことでいろいろな人間に命を狙われ、莫大な金につながる手がかりであるダイヤを盗んだ子どもを自分の命を救うために捕まえることになるというストーリーで、ハーレイのやることはどれもこれも成り行き任せの行き当たりばったりなのだが、そこには自由がある。「スーサイド・スクワッド」での彼女は、一見自由で破天荒なように見えたけれども、実際にはオリジンのストーリーからしてジョーカーが影を落としている部分もあった。しかし、この映画ではそれがない(ジョーカーは顔も映らない)。真に自由でやりたいことだけやっているハーレイ・クインがここにいる。

この映画、恋に落ちた相手ジョーカーのために悪行に手を染めたハーレイ・クインしかり、ブラック・マスクに「小鳥」として仕えていたブラック・キャナリーしかり、男性刑事に手柄を横取りされて出世できないレニー・モントーヤしかり、男性のために働き、報われなかった女性が「小鳥」から「猛禽(bird of prey)」になって籠の中からはばたいて大暴れするわけなので爽快でないわけがないのである。「お前は一人では生きられない」「お前には私が必要だ」とブラック・マスクは言う。これは映画の外でも女性たちが言われてきたことだ。そんな呪いの言葉なんてぶっとばせばいいことを、女性たちだけで立派にやっていけるのだということを見せてくれる、これは痛快な映画である。

 

ちなみに

・ブラック・キャナリーが「キラーボイス」で敵をふっとばすシーン、コミックになじみのない人には取ってつけたように見えたかもしれないが、コミックのブラック・キャナリーは元々これが必殺技です。

 

・などとさもDCコミックスに詳しいような言い方をしてみたが別にそれほど詳しいわけでもないので、カサンドラ・ケインが登場するものは読んだことがない。しかしコミックのカサンドラはこういう人↓である、という知識はあったため、本作のカサンドラは「あれ…だいぶ違うね…?」となってしまった。映画版に近いようなカサンドラが登場するアースもあるのだろうか。

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カサンドラ・ケイン&ブラック・キャナリーはDCの最強キャラクターランキング(スーパーパワーではなく格闘時の強さに焦点をあてたもの)に複数ランクインしている。

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