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ビジュアルで魅せる怖さ「スケアリーストーリーズ 怖い本」

※ネタバレがあります。

 

 

予告編

 

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あらすじ

シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー賞を受賞したギレルモ・デル・トロが企画・製作を手がけ、恐ろしい内容や挿絵のために全米で学校図書館に置くことに対する論争が巻き起こった児童書シリーズを映画化。ハロウィンの夜、町外れにある屋敷に忍び込んだ子どもたちが一冊の本を見つける。その本には数々の恐ろしい話がつづられており、本を持ち帰った次の日から、子どもがひとりまたひとりと消えていく。さらに、その「怖い本」には、毎夜ひとりでに新たな物語が追加されていき……。原作は1981年に第1作が発表されたアルビン・シュワルツによるベストセラー児童書 「スケアリーストーリーズ 怖い本」 シリーズ。「ジェーン・ドウの解剖」「トロール・ハンター」のアンドレ・ウーブレダル監督がメガホンをとった。(映画.comより引用)

 

感想

 

 ストーリーをあまり知らずに観た。アンソロジーなのかと思っていたらいろいろな怖い話をうまいこと一本の長編映画にまとめあげた感じなのね。「案山子のハロルド」や「赤い点」は正に「どこかで聞いたことあるような気がする怖い話」でオリジナリティがあるわけではない。しかし映像化のセンスがいいせいで、観ていて「ひいいいいい」となること請け合いである。ハロルドのビジュアルの絶妙な不気味さよ。「赤い点」の「出てきたそれがひくっと動いて脚(何の脚かは武士の情けで言わずにおくことにする)であることがわかる」描写よ。「夢」なんてただ「どっちに逃げてもPale Ladyがいる」というシンプルなアイデアなのだが、Pale Ladyが怖い!走ることはできるのにどっちを向いてもPale Ladyがいる!いやあああああ!

 そしてそして、Jangly Manである!

 暖炉から頭が、胴体が、手足が、ばらばらに落ちてきて合体し、関節が思いもよらない方向にねじくれてこっちに向かってくるJangly Man!怖い!怖いぞ!

 このJangly Man、ぜひ本編でその姿を確かめてもらいたいのだが、その不気味な姿は当然全部CG…と思っていたら、実はこれ、俳優さんが演じているのである!

 

 

  

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演じるトロイ・ジェームズさんはAmerica’s Got Talentに出演、にこにこと自己紹介をした後、なんかもう凄い動きで審査員及び観客に悲鳴を上げさせて話題になった人。それまでは普通に仕事を持ち、この「芸」は趣味程度のもので、ステージで披露することはなかったという。体が柔らかいのも生まれつきだとか。

 

(これがその映像だ!↓)

 

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 この人の演じるJangly Manがビジュアルから動きから本当に素晴らしい!このようにクリーチャーに力を入れた、文句なく楽しいホラー映画でありました。

 

ちなみに

 

 ・“wet back”がなぜ「不法入国者」なのかと言うと、「メキシコから背中(=back)を濡らして(wet)リオ・グランデを渡り、やって来る不法移民」の意味で用いられた語だから。転じて徒歩や車でやって来る不法移民をもwet backと呼ぶようになった。差別的なニュアンスを持つ言葉なので使ってはいけない。

 これ↓は2013年、アラスカの議員がこの言葉を使ったため非難にあって謝罪を余儀なくされたというニュース。

  

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・たぶん一昔前ならステラとラモンはカップルになっていたところを、キスシーン一つなく終わらせてくれてよかった…と思ったりするのだった(異性愛関係にない男女の物語が好きなひと)。