※ネタバレがあります。
予告編
「とびだす絵本とひみつのコ」はこちら↓
「青い月夜のまほうのコ」はこちら↓
あらすじ
「とびだす絵本とひみつのコ」
「日本キャラクター大賞 2019」でグランプリを受賞したサンエックス株式会社の大人気キャラクター「すみっコぐらし」の劇場版アニメーション。すみっコを好む個性的なキャラクターたちが、不思議な絵本の中で繰り広げる大冒険を描く。ある日の午後、お気に入りの喫茶店「喫茶すみっコ」を訪れたすみっコたちが注文した料理を待っていると、地下室から謎の物音が聞こえてくる。音の正体を確かめに行ったすみっコたちは、そこで1冊の飛び出す絵本を発見する。絵本はボロボロでページの大事なところがなくなっており、桃太郎のお話のページには背景があるだけでおじいさんもおばあさんもいない。すると突然、大きな影が現れ、えびふらいのしっぽが絵本の中に吸い込まれてしまう。「アイドルマスター シンデレラガールズ劇場」のまんきゅうがメガホンをとり、「銀河銭湯パンタくん」の角田貴志が脚本、「がんばれ!ルルロロ」のファンワークスがアニメーション制作を担当。(映画.comより引用)
「青い月夜のまほうのコ」
サンエックス株式会社の人気キャラクター「すみっコぐらし」を映画化し、スマッシュヒットを記録した「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」に続く劇場アニメ第2弾。とある秋の日、キャンプへ出かけたすみっコたちは、空にいつもより大きく青く輝いている月を発見する。「5年に1度の青い大満月の夜、魔法使いたちがやって来て夢をかなえてくれる」という伝説の通り、すみっコたちの町に魔法使いの5人兄弟が出現。彼らはあちこちに魔法をかけ、町中をパーティ会場のように彩っていく。楽しい夜にも終わりが近づき魔法使いたちは月へと帰っていくが、たぴおかが魔法使いのすえっコ・ふぁいぶと間違えられて連れて行かれてしまう。前作に続き、井ノ原快彦と本上まなみがナレーションを担当。「夏目友人帳」シリーズの大森貴弘が監督を務め、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の吉田玲子が脚本を手がけた。
(映画.comより引用)
感想
すみっコぐらし、である。
あなたもなんとなく見かけたことくらいあるかもしれない。なんか丸っこくて、柔らかくて、見ているだけでほわーんとなるようなキャラクターたちを。ぬいぐるみをはじめとした数限りないグッズに、グッズ&テイクアウトショップ「すみっコぐらし堂」、メトロポリタン美術館展(!?)他とのコラボ、などなど、多面的に展開している「すみっコぐらし」であるが、映画も制作されヒットを記録している。それがこの二本だ。
アニメとしては、とにかくかわいい。いや、元々のキャラクターがかわいい、というのはもちろんわかるのである。しかしこのパステルカラーの選択といい、キャラクターそれぞれに声優をあててしゃべらせるのではなく素朴なナレーションで物語を語りつつ台詞は書き言葉にする、という選択といい、このキャラクターたちの世界をアニメにするにあたっては大正解じゃなかろうか。ランタイムが一時間そこそこというのも日々お疲れの身にはありがたい。そして物語だが…
そう、物語について語りたいのである。それも「とびだす絵本とひみつのコ」&「青い月夜のまほうのコ」二本をセットにして。
まず「とびだす絵本とひみつのコ」において、すみっコたちがこれまで懸命におうちを見つけてあげようとしていたひよこが、元々えほんに描かれたらくがきであることが判明する。そこですみっコたちは自分たちの世界で一緒に暮らすようひよこに提案する。
「青い月夜のまほうのコ」では、魔法使いたちが末っ子のふぁいぶに優しくしてくれたとかげの夢をかなえてあげようとする。
これら二本の映画は、言うまでもなくすみっコたちが暮らすここではないどこかを舞台としており、そこでは現実の世界ではありえないことが起きたりする(食べてもらえなかったとんかつのはじっこがしろくまと同じサイズで意志を持って動きまわったりしている)。映画のメインターゲットは、作りからして子どもたちだろう。だから、いいんじゃないだろうか、と思うのである。多少の奇跡が起こって、それでキャラクターの願いが叶っても、それはそれでいいんじゃないだろうか。
しかし、どちらの映画でも奇跡は起こらない。「とびだす絵本とひみつのコ」のひよこは、あくまで「えほんに描かれたらくがき」なのであり、すみっコたちの世界に行くことはできない。「青い月夜のまほうのコ」では、とかげの夢――おかあさんといっしょに暮らしたい――を、魔法使いたちは叶えることができない。ひよこは結局えほんの世界に居続けるし、とかげは「本当はきょうりゅうである」という正体を仲間にも隠したまま、おかあさんであるきょうりゅうと離れ離れに暮らし続ける。
現実の世界の話をしよう。どんなに願ったところで、世界にはどうにもならないことはある。もっと生きていたい人が病気にかかったり、事故に遭ったりする。それは誰が悪くて起こるのでもない。「病気にならないで」「事故に遭わないで」とどんなに強く願っても、奇跡が起こって都合よく病気や事故やその他のどうしようもないことから人が守られることはない。決して、ない。私たちは「じゅうぶん強く願えば叶う世界」に生きているわけではないし、今あるこの世界を、「じゅうぶん強く願えば叶う世界」に変えることもできない。私たちにはそんな力はない。
私たちには、強く願って奇跡を起こす力はない。けれど、自分のできることをやって、自分自身や周りを少しだけよくすることは、できるのだ。すみっコたちが「とびだす絵本とひみつのコ」において、ひとりぼっちのらくがきのひよこのためにしたことがそうだし、魔法使いたちが「青い月夜のまほうのコ」において、とかげのためにしたことがそうなのだ。
安易な奇跡によって世界の姿を変えキャラクターを救済するのではなく、あくまでままならない世界において自分たちにできるかぎりのことをやる。この二本の映画がそういう物語であることが私はとてもうれしい。
ちなみに
これが「すみっコぐらし」公式サイトだ!↓
これが「すみっコぐらし堂」だよ!公式サイトからも飛べるよ!(行きたい)↓
メトロポリタン美術館展とのコラボはこちら↓から!ちょっと…かわいすぎるんすけど…