映画を観る準備はできている。

映画についてのいろいろな話。

あまり有名じゃないがおすすめのホラー映画三本を紹介するよ。

 

最近あまり体調が良くない。だから気分の上がることをしようと思う。そう、あまり有名じゃないがお気に入りのホラー映画を紹介する、などである。

 ではさっそく行きます。

 

 

 

1.「ワナオトコ」

予告編はこちら。

 

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あらすじ

「ソウ」シリーズの脚本を手がけたマーカス・ダンスタン&パトリック・メルトンによるホラー。かつて金庫破りをしていたアーキンは現在は内装業者として真面目に働いていたが、元妻の借金を肩代わりするため、仕事を請け負った金持ちの邸宅に空き巣に入ることに。ところが、忍び込んだ邸宅には先に侵入者がいた。気づいた時にはすでにドアや窓は完全に封じられており、逃げ場を失ったアーキンは、謎の侵入者が仕掛けた無数の残虐な罠に怯えながら脱出を試みるが……。(映画.comより引用)

 

紹介

 まず予告編にツッコミを入れると、アーキンさんは強盗じゃないよ!原文でも普通に「泥棒」と言ってます。あらすじからわかるように、昔は金庫破りをしてたんだけど今は真面目にやってるんですよアーキンさん。でも仕方のない理由があって金持ちの家に盗みに入ることになる。しかしそこにはやたら罠を張るのが好きなキラーが先に侵入していたのだった。どうするアーキンさん!ホラー映画史上まれにみる運の悪さと人の好さを誇るアーキンさんが頑張ります。演じるジョシュ・スチュワートが絶妙に薄幸そうな顔をしていて、余計に応援したくなるのでした。

 ちなみに全然続編だとわからない「パーフェクト・トラップ」っていう邦題になってしまった続編もあるぜ!実は3も予定されていたのだがよくわからない理由で中止になってしまったらしく悲しいところである。

 

これが「パーフェクト・トラップ」の予告編だよ!一部ではクラブに仕掛けられた豪快なトラップが話題になったよ!日本版が発見できなかったのでオリジナル版。

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2.「11:46」

 

予告編

 

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あらすじ

精神科病棟で働く若い看護師カレン。彼女が乗り込んだ最終の地下鉄電車が惨劇の場と化した。生き残るべく必死の抵抗が始まるが……。イロナ・エルキン、ニコラス・ライト共演によるカナダ発クリーチャー・ホラー。(TSUTAYAディスカスより引用)

 

紹介

地下鉄というホラーと相性のいい舞台で、突如人を殺し始める宗教団体!人々は逃げまどい、反撃し、なんとか生き残ろうとするが…

 これはボーイスカウトみたいな制服で人を殺し始める宗教団体の人々が不気味で本当に怖かったし、殺人の理由もいい。「28週後…」を観た後のような絶望感を味わえるよきホラーです。

 ちなみに本作が評価されたモーリス・デヴュロー監督ですが、IMDBによるとこれ以降監督作がない様子。なぜだ…

 

3.「 スナッチャーズ・フィーバー 喰われた町」

 

予告編

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あらすじ

恐ろしい「何か」に侵食された町に足を踏み入れた若者たちが体験する恐怖を、緊迫感たっぷりのリアルな映像で描いたカナダ製スリラー。映画学科に所属する4人の学生たちが、とある田舎町へ取材にやって来る。早速カメラを回しはじめるが、住民たちの様子がどこかおかしい。やがて学生たちは、恐ろしい力を持つ「何か」が世界を乗っ取ろうとしていることに気づく。出演は「コリドー」のマシュー・エイミオットほか。カナダのアトランティック映画祭で最優秀監督賞をはじめ4冠を獲得。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2016」上映作品。(映画.comより引用)

 

紹介

 予告編にあるただ笑っているだけのレジ係の女性とか、少しだけどこかヘンで、でもどこがヘンなのかはよくわからない、みたいな不気味さ。映像がざらついて綺麗じゃないので余計リアルな感じに見えて更に怖いのです。予告編のこちらに後ろ姿を向けた女の子のシーンとか、怖くないですか?というかこの予告編が既にもう怖くないですか?本編は(当たり前ですが)予告編より怖いです。これもまたホラー映画ファンなら大好物なはずの絶望感を味わえる小さな逸品です。

 ちなみに監督はこの映画の5年前に短編版も撮っており、いくつかのシーンは長編版にも登場します。この短編版がまた怖いんだよう。10分しかないのでぜひ。残念ながら字幕はなし。

 

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というわけで、お気に入りの「あまり有名じゃないがおすすめのホラー映画」でした。第二弾もそのうちやるような気がします。それでは。

 

 

アイデアはいいと思うんだけどな…「アトラクション」

※ネタバレがあります。

 

予告編

日本版もオリジナルも、見せ場を見せまくりの総集編のようなものになってしまっているので貼りません。

 

あらすじ

“ホラー”をテーマにしたアミューズメント・パークにマスク姿の連続殺人鬼現る!! 楽しいはずの時間はいつしか本物の恐怖に….

ハロウィンの季節。大学生のナタリーは幼馴染のブルックを訪問し、ブルックのルームメイトのテイラー、そして彼女達のボーイフレンド達と共に、“ホラー”がテーマのアミューズメント・パーク「Hell Fest」へと繰り出す。楽しい夜になるはずだったが、数々のアトラクションに紛れ込む形で一人のマスク姿の連続殺人鬼が現れ、次第に「Hell Fest」は殺人鬼の血みどろの「狩猟場」へと化してしまう.....(公式サイトより引用)

 

 

 

感想

 この映画、90分もないのである。しかしそれなのに途中がだれる。アトラクションの中、主人公の眼前で二人目の被害者が殺された後、パークの中をうろついて遊ぶ主人公グループにけっこう時間を割いているため、次が殺されるまでが長くて、ここでまずちょっとううむ、となってしまった。主人公グループから犠牲者が出はじめても、基本的に殺し方が「刺すだけ」なのであまり面白くない。ギロチンのくだりなどはやりようによっては面白くなっただろうになあ…と残念に思った。せっかく「一回刃が落ちるが首がちゃんと切れない」というのをやったのだから、もっと印象的なゴアな感じにできたはずだぜ…仮面の男の仮面はけっこういい感じに不気味だし、同じ格好をしたパークの従業員がいっぱいいるというのももっと活かせたはずだし、ぶっちゃけた話主人公が逃げ回るアトラクションのほうが怖かったりする(人間の腕が無数に突き出ている壁の間を通らなければならないがその腕が動き始める、とか)。「目の前で殺人が起きてもアトラクションの一部だと思い込んでしまう」アイデアももっと取り込んでもよかったのではないだろうか。割と簡単に殺人者がいることがばれてしまってセキュリティが動きだしたりするので、最後までみんながアトラクションだと思い込んで誰も助けに来ないくらいでよかったんじゃないかなあ、と思ったりする。個人的に一番ひいい、となったのは最後のシーンだった。おおう、××のいる殺人鬼ってあんまりいないような…

 しかし、トニー・トッドがホラー映画にカメオ出演しているのを見るのはいつでもいいものである。

私の好きそうな映画なんだけどなあ…「ブラック・クリスマス」

※ネタバレがあります。

 

予告編

日本版予告編を見たらかなり終盤の展開をばらしてしまっており、オリジナル版も似たようなものだったので貼りません。

 

あらすじ

1974年のカナダ映画暗闇にベルが鳴る」を、「グリーンルーム」のイモージェン・プーツ主演でリメイクした青春ホラー。クリスマス休暇を満喫する大学生たち。そこへ不気味な覆面を被った殺人鬼が現れ、学生たちを次々と惨殺していく。女子学生のライリー、クリス、マーティ、ジェシーの4人はおびえながらも、武器を手に取り殺人鬼と戦うことを決意する。共演に「ソウ」ケイリー・エルウィズ。「ゲット・アウト」のブラムハウス・プロダクションズが製作を手がけ、「ブラック・ビューティー」のソフィア・タカールがメガホンをとった。(映画.comより引用)

 

感想

 たとえば「ゲット・アウト」は人種差別という社会問題をテーマにしながらホラー映画としてもとても恐ろしく作られた傑作だった。「ブラック・クリスマス」ははっきりとフェミニズムをテーマにしたホラーである。そして私は女性差別に反対するホラー映画ファンである。いかにも私が好きそうな映画ではありませんか。しかし残念ながらそうはいかなかったのである。この映画、フェミニズムをテーマにした映画としてもホラー映画として問題ありありではないか…

 「エルム街の悪夢(2010)」で語ったことをここでもくり返さねばならないようだ。問題は監督である。本当に身も蓋もねえな!

 

 この監督はホラー演出にあまり興味がないようである。中盤でいきなり弓が飛んでくるシーンくらいしか「ひいっ」とさせてくれるところがなかった。また、犠牲者たちの亡骸を極力見せないようにしている感がある。ホラー映画とそこに出てくる女性との関係を真剣に語るとなると一冊の本を書く必要があると思うのでここではふわっと語るに留めるが、恐らく無残に殺される女性を消費したくなかったのではないだろうか…と想像する。しかし無残に殺される女性をフェティッシュに描かなくても恐怖は描けるはずだ。そしてホラー映画ファンはびくびくしながら映画を観たいのだ。悪役の仮面の男たちがいまいち怖くないのがいけないんだと思います。こいつらがもっと怖かったら反撃シーンでもっとすかっとしたはずなのだが…

 そして、フェミニズムをテーマにした物語として。この物語の主人公ライリーが自らの性被害をネタにして加害者を告発するショーを披露する場面がある。元々は友人たちが出演するはずが、一人が出られなくなりライリー自身が代役を務めることになる。ショーが行われる場所には彼女を加害した犯人の男もいる。ライリーは出演を嫌がるが、友人のクリスはそんな彼女に「逃げちゃだめ」だと言ってショーに出るように言う。

私はこのクリスの言葉に賛同できない。被害者に、加害者といる場所に出て行って「戦う」ように他人が言うことは二次加害になりかねないのではないか。本人がそれをやりたがっているのでサポートする、というのならわかるのだが…そして後にライリーがこの件について「私は嫌だったのに」と怒るシーンがある。そりゃあ怒るよね…と思っていたら終盤、恐らくはこれを受けてライリーはクリスに「私が戦うべきだったのに」と謝るのである。

いやいや待て待て。ライリーが「私は嫌だったのに」と怒る場面の後に、ライリーとクリスが車で逃げだして、「警察に行こう」と言うクリスに対しライリーは「仮面の男どもを操る黒魔術を破るためなんかわけのわからん石像をぶち壊しに行こう」と言うんですよ。警察は彼女が性被害に遭った時信じてくれなかった、自分で動くしかないと。でもクリスは同意しなかったので、ライリーは一人で仮面の男どもの本拠地に向かうのです。黒魔術とか、石像とか、わけのわからんのはわかりますよ。でもそれって本当に、まんま性被害の訴えを信じない警察その他のアカン態度を、友人であるクリスがくり返してしまっているわけです。クリスはライリーを一人で戦わせたんだよ。戦わなかったのはあんただよ。クリスが最終的にはライリーの言葉を信じたから最後には援軍を引き連れて助けに来てくれたのはわかるんですよ。でもね、ライリーが一方的にクリスに謝るのっていうのは違うと思う…もやっとするぜそこはさ…

というわけでフェミニズム映画としてもホラー映画としても賛同できない映画でしたね…

 

ちなみに

 

・まんま「ノットオールメン」をめぐる議論みたいなところがあるのだが、本当にNot all menと言うので「本当にノットオールメン言うた…!」という謎の感動を味わえたぜ。

ノットオールメンについてはこちらをどうぞ↓

 

www.ellegirl.jp

 

 

・終盤のシーン、字幕では「君が決めろ」となっている台詞は、英語ではYour body, your choice。人工妊娠中絶規制への反対のスローガンにもなっているMy body, my choiceのもじりであろう。

www.wwdjapan.com

 

バッドなホラー映画を求めるあなたに「エルム街の悪夢(2010)」

※ネタバレがあります。

 

 

予告編

 

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あらすじ

夢の中から人々を襲う殺人鬼フレディ・クルーガーの殺戮を描く同名人気ホラーシリーズの第1作をマイケル・ベイ製作、ジャッキー・アール・ヘイリー主演でリメイク。エルム街に住む高校生のナンシー、クリスらは鉄の爪を持つ男に襲われる悪夢に毎晩うなされていた。そんな中、同じ悪夢にうなされていた仲間のひとりが現実に殺害され……。監督は、これまでにメタリカやグリーンデイなどのPVを手掛けてきたサミュエル・ベイヤー。(映画.comより引用)

 

感想

 バッドなホラー映画を見たくなることはないでしょうか。私はあります。バッドと言うのはバッドエンドとかそういう意味ではなく、にべもなく言ってしまえば「出来が悪い」という意味です。だって出来のいいホラー映画ってどきどきはらはらするじゃないですか。そして時には絶望的なエンディングに打ちひしがれることだってあるじゃないですか。私はそういうのが大好物なホラーファンなわけですが、しかしそういうガチに素晴らしいホラー映画を観るには心の体力(心の体力??)が足りない時がある。もっとこう、若者が殺される系の映画が観たい…でもこう出来の悪さにツッコミを入れながら観る感じのほわっとしたやつ…そういうのがいい…そういう時が来たので、いい評判を一度たりとも聞いたことのない、たぶんこれはきっと私のバッドなホラー映画欲を満たしてくれるやつ…!なにおいがもうぷんぷんする映画を観ることにしました。そう、「エルム街の悪夢(2010)」です。

 結論から言えば、正解でした。「エルム街の悪夢(2010)」はまさに私のバッドなホラー映画欲を満たしてくれる、まれにみるバッドなホラー映画だったのです!

エルム街の悪夢1984)」はあのホラー映画史に残る怪物フレディを世に出した記念碑的名作でありました。それが後ろにつく公開年が違うだけでこの無残なありさま…!思うにこうなってしまったのにはわけがあります。そう、監督です。身も蓋もねえな!

「忘れられない恐怖シーンを見たいぜ」欲というのがホラー映画ファンにはあると思うのです。そして1984年版はその点素晴らしかった。あの最初の殺しのシーンにしろ、バスルームのシーンにしろ、そしてフレディの造形にしろ、美しくさえあるエンディングシーンにしろ、ビジュアルがとても印象的なシーンが1984年度版にはありました。そして1984年度版を知っているからこそ、リメイクにはオリジナルと同じくらい、あるいはオリジナルを超えるほどの印象的なシーンを!期待してしまうではないですか我々は!

しかし2010年版にはそれがなかった。最初にナンシーが悪夢を見るシーンのCGフレディの怖くなさにやな予感を覚えたあなた、あなたのその予感はたぶん正しいです。そもそもフレディが怖くない!怖くないよ全然!これは演じたジャッキー・アール・ヘンリーのせいというよりあのデザインの問題ではないだろうか。そもそも悪夢のシーンもどれも同じ工場みたいなところに行って基本的に後ろからばあっと脅かすだけだし、終盤のナンシーをいじめるところだけは若干マシだけれども、Jump Scareのやり方がわかってないなお主…と歴戦のホラー映画ファンとしては思ってしまうのでした。びくうっってしたいんですよ私は。全然びくっとしなかったぜ!そして全体的に殺しのシーンは血のりが少なすぎます。フェデ・アルバレスに任せていたならきっとこれの十倍は血まみれにしたことでしょう。

ちなみにこれがフェデ・アルバレスによるリメイク版「死霊のはらわた」の予告編だぜ!予告編だけでも「エルム街の悪夢(2010)」よりよっぽど怖いと思うので閲覧注意だぜ!

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これがなぜかと言うと、たぶん監督サミュエル・バイヤーがホラー愛の薄い人だったからではないか…と思うのです。サミュエル・バイヤーはミュージックビデオをたくさん撮っている人で、長編映画は「エルム街の悪夢(2010)」しか監督していません。でもミュージックビデオの世界では、NirvanaSmells Like Teen SpiritGreen Day のWake Me Up When September Endsも監督している人なのです。

 

Green Day - Wake Me Up When September Ends [Official Music Video]

ジェイミー・ベルエヴァン・レイチェル・ウッドが出ています。

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Maroon 5 - Animals (Official Music Video)

ぶっちゃけ「エルム街の悪夢(2010)」よりよっぽどホラーだと思う。

 

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というわけで「エルム街の悪夢(2010)」はツッコミどころ満載、あなたのバッドなホラー映画欲を必ずや満たしてくれる、期待にたがわぬバッドなホラー映画でありました。

 

前作に続いていいホラー「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」

※ネタバレがあります。

 

予告編

日本版はあまりにも見せすぎではと思うので英語版の予告編です。

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あらすじ

 

エミリー・ブラント主演で、音に反応して人類を襲う“何か”によって文明社会が荒廃した世界を舞台に、過酷なサバイバルを繰り広げる一家の姿を描き、全米でスマッシュヒットを記録したサスペンスホラー「クワイエット・プレイス」の続編。生まれたばかりの赤ん坊と耳の不自由な娘のリーガン、息子のマーカスを連れ、燃えてしまった家に代わる新たな避難場所を探して旅に出たエヴリン。一同は、新たな謎と脅威にあふれた外の世界で、いつ泣き出すかわからない赤ん坊を抱えてさまようが……。主人公エヴリンをブラントが演じ、リーガン役のミリセント・シモンズ、マーカス役のノア・ジュプも続投。新キャストとしてキリアン・マーフィジャイモン・フンスーが加わった。監督・脚本も前作同様、ブラントの夫で前作で夫婦共演もしたジョン・クラシンスキーが再び手がけた。(映画.comより引用)

 

 

 

感想

 音に反応するクリーチャーの襲撃が初めてあった日から幕を開け、タイトルが出て、前作ラストの直後のシーンに繋がるという無駄のない作り。最初は「赤ん坊がいつ泣くかわからない」というネタでひっぱるのかと思いきや、割と早い段階でその問題はおおかたクリアされ、焦点は別の問題に移っていきます。自分なら他の生存者を救えると信じたリーガンがとった行動によって、遠く離れたところにいる家族が救われるという展開がアツい。あとキリアン・マーフィが手話を披露するところですが、「ここ来るぞ!キリアン・マーフィあれやるぞ!」と思っていたら本当にやってくれたのでうれしかった。きれいな伏線回収ですね。前作に引き続いて登場人物たちが考えた上での最善の行動をとるタイプのホラー映画なのですが、気になったのは「裸足で歩くのは危ないので家を出る時に靴を持って行った方がいいと思います」という点(まあ家が火事にあったりしていたので持ち出せなかったのかもしれない)と、ある人物が死ぬシーンがちょっと不自然な点(あそこはすぐシャッター閉める所だろ)ですね。しかし後者についてはクリーチャーが建物内に侵入しなければ盛り上がらないので仕方ない…かな…

 また、今作も前作と同じく気持ちよく潔い感じで終わっております。

 

ちなみに

 ・ジャイモン・フンスーの役は元々「エターナルズ」のファストスことブライアン・タイラー・ヘンリーが演じるはずだったが、スケジュールの都合でヘンリーが降板せざるをえなくなったそうだ。

collider.com

 

ウィリアム・フリードキンがこのようなツイートをしている。

「『クワイエットプレイス 破られた沈黙』はクラシックなホラー映画だ。シネマが戻ってきた」

 

 

・前作でアボット家の次男ボーを演じたケイド・ウッドワードの弟ディーン・ウッドワードが今作ではボーを演じている。

 

aquietplace.fandom.com

 

 

・気になる続編だが、第三弾が2025年公開、スピンオフも制作されるとのこと。

 

www.digitalspy.com

 

奇跡は起こらない、でも。「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」&「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」

※ネタバレがあります。

 

予告編

「とびだす絵本とひみつのコ」はこちら↓

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「青い月夜のまほうのコ」はこちら↓

www.youtube.com

 

 

あらすじ

「とびだす絵本とひみつのコ」

 

「日本キャラクター大賞 2019」でグランプリを受賞したサンエックス株式会社の大人気キャラクター「すみっコぐらし」の劇場版アニメーション。すみっコを好む個性的なキャラクターたちが、不思議な絵本の中で繰り広げる大冒険を描く。ある日の午後、お気に入りの喫茶店「喫茶すみっコ」を訪れたすみっコたちが注文した料理を待っていると、地下室から謎の物音が聞こえてくる。音の正体を確かめに行ったすみっコたちは、そこで1冊の飛び出す絵本を発見する。絵本はボロボロでページの大事なところがなくなっており、桃太郎のお話のページには背景があるだけでおじいさんもおばあさんもいない。すると突然、大きな影が現れ、えびふらいのしっぽが絵本の中に吸い込まれてしまう。「アイドルマスター シンデレラガールズ劇場」のまんきゅうがメガホンをとり、「銀河銭湯パンタくん」の角田貴志が脚本、「がんばれ!ルルロロ」のファンワークスがアニメーション制作を担当。(映画.comより引用)

 

 

 

「青い月夜のまほうのコ」

 

サンエックス株式会社の人気キャラクター「すみっコぐらし」を映画化し、スマッシュヒットを記録した「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」に続く劇場アニメ第2弾。とある秋の日、キャンプへ出かけたすみっコたちは、空にいつもより大きく青く輝いている月を発見する。「5年に1度の青い大満月の夜、魔法使いたちがやって来て夢をかなえてくれる」という伝説の通り、すみっコたちの町に魔法使いの5人兄弟が出現。彼らはあちこちに魔法をかけ、町中をパーティ会場のように彩っていく。楽しい夜にも終わりが近づき魔法使いたちは月へと帰っていくが、たぴおかが魔法使いのすえっコ・ふぁいぶと間違えられて連れて行かれてしまう。前作に続き、井ノ原快彦と本上まなみがナレーションを担当。「夏目友人帳」シリーズの大森貴弘が監督を務め、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の吉田玲子が脚本を手がけた。

(映画.comより引用)

 

 

 

感想

 すみっコぐらし、である。

 あなたもなんとなく見かけたことくらいあるかもしれない。なんか丸っこくて、柔らかくて、見ているだけでほわーんとなるようなキャラクターたちを。ぬいぐるみをはじめとした数限りないグッズに、グッズ&テイクアウトショップ「すみっコぐらし堂」、メトロポリタン美術館展(!?)他とのコラボ、などなど、多面的に展開している「すみっコぐらし」であるが、映画も制作されヒットを記録している。それがこの二本だ。

 アニメとしては、とにかくかわいい。いや、元々のキャラクターがかわいい、というのはもちろんわかるのである。しかしこのパステルカラーの選択といい、キャラクターそれぞれに声優をあててしゃべらせるのではなく素朴なナレーションで物語を語りつつ台詞は書き言葉にする、という選択といい、このキャラクターたちの世界をアニメにするにあたっては大正解じゃなかろうか。ランタイムが一時間そこそこというのも日々お疲れの身にはありがたい。そして物語だが…

 そう、物語について語りたいのである。それも「とびだす絵本とひみつのコ」&「青い月夜のまほうのコ」二本をセットにして。

 まず「とびだす絵本とひみつのコ」において、すみっコたちがこれまで懸命におうちを見つけてあげようとしていたひよこが、元々えほんに描かれたらくがきであることが判明する。そこですみっコたちは自分たちの世界で一緒に暮らすようひよこに提案する。

 「青い月夜のまほうのコ」では、魔法使いたちが末っ子のふぁいぶに優しくしてくれたとかげの夢をかなえてあげようとする。

 これら二本の映画は、言うまでもなくすみっコたちが暮らすここではないどこかを舞台としており、そこでは現実の世界ではありえないことが起きたりする(食べてもらえなかったとんかつのはじっこがしろくまと同じサイズで意志を持って動きまわったりしている)。映画のメインターゲットは、作りからして子どもたちだろう。だから、いいんじゃないだろうか、と思うのである。多少の奇跡が起こって、それでキャラクターの願いが叶っても、それはそれでいいんじゃないだろうか。

 しかし、どちらの映画でも奇跡は起こらない。「とびだす絵本とひみつのコ」のひよこは、あくまで「えほんに描かれたらくがき」なのであり、すみっコたちの世界に行くことはできない。「青い月夜のまほうのコ」では、とかげの夢――おかあさんといっしょに暮らしたい――を、魔法使いたちは叶えることができない。ひよこは結局えほんの世界に居続けるし、とかげは「本当はきょうりゅうである」という正体を仲間にも隠したまま、おかあさんであるきょうりゅうと離れ離れに暮らし続ける。

 現実の世界の話をしよう。どんなに願ったところで、世界にはどうにもならないことはある。もっと生きていたい人が病気にかかったり、事故に遭ったりする。それは誰が悪くて起こるのでもない。「病気にならないで」「事故に遭わないで」とどんなに強く願っても、奇跡が起こって都合よく病気や事故やその他のどうしようもないことから人が守られることはない。決して、ない。私たちは「じゅうぶん強く願えば叶う世界」に生きているわけではないし、今あるこの世界を、「じゅうぶん強く願えば叶う世界」に変えることもできない。私たちにはそんな力はない。

 私たちには、強く願って奇跡を起こす力はない。けれど、自分のできることをやって、自分自身や周りを少しだけよくすることは、できるのだ。すみっコたちが「とびだす絵本とひみつのコ」において、ひとりぼっちのらくがきのひよこのためにしたことがそうだし、魔法使いたちが「青い月夜のまほうのコ」において、とかげのためにしたことがそうなのだ。

 安易な奇跡によって世界の姿を変えキャラクターを救済するのではなく、あくまでままならない世界において自分たちにできるかぎりのことをやる。この二本の映画がそういう物語であることが私はとてもうれしい。

 

ちなみに

 これが「すみっコぐらし」公式サイトだ!↓

 

www.san-x.co.jp

 

 

 これが「すみっコぐらし堂」だよ!公式サイトからも飛べるよ!(行きたい)↓

 

sumikkogurashido.jp

 

 

 メトロポリタン美術館展とのコラボはこちら↓から!ちょっと…かわいすぎるんすけど…

www.san-x.co.jp

この映画で理解できるのはニコラス・ケイジだけだぜ!「ウィリーズ・ワンダーランド」

※ネタバレがあります。

 

予告編

 

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あらすじ

ニコラス・ケイジが製作・主演を務め、廃墟となったテーマパークで悪魔のようなアニマルロボットたちに襲われる人々を描いたアクションスリラー。車が故障し、人里離れた町に取り残された男。通りかかった修理工に助けられるが修理代を払えず、支払いの代わりに、廃墟となったテーマパーク「ウィリーズ・ワンダーランド」の清掃員として一晩だけ働くことに。しかしパークには暗い過去があり、かつて子どもたちに大人気だった動物キャラクターのロボットたちは恐ろしい殺人鬼と化していた。園内に閉じ込められた男は、容赦なく襲い来るロボットたちと死闘を繰り広げる。新宿シネマカリテの特集企画「カリコレ2021/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2021」(2021年7月9日~8月5日)上映作品。(映画.comより引用)

 

感想

 あらすじには書かれていないのだが、この映画には殺人ロボットを全滅させるべくテーマパークに火を点けようとする若者たちが出てくる。当初は外からガソリンをかけて火を点けよう!という計画だったのが、いろいろあって殺人ロボットがうようよしているテーマパークに入りこんでしまった若者たち。そしてその中には一組カップルがいるのだが、これが意味不明な行動をとる。なんと他の若者たちと離れて別室に閉じこもり、いちゃいちゃ(婉曲表現です)しはじめるのである!

 俺にはわからない…なぜそんなことをするのだろう…殺人ロボットがうようよしていいるのに…

 また、若者たちの中には中心人物であるリブに恋心を抱いている、というどうでもいい設定を背負ったクリス君という男の子がいる。このクリス君が殺人ロボットの一体に話しかけられるところがあり、ロボットは「わたし他のロボットとはちがうの、皆わたしのこと醜いって言っていじめるのよ」などと言う。もちろんそんな言葉にだまされるクリス君ではありません…ととても言いたいのだが、クリス君はなんとこの言葉を信じるのである!!

 俺にはわからない…なぜ信じるのだろう…やばい殺人ロボットだとわかっているはずなのに…

 まあそんなわけで本作は登場人物がよくわからないご都合主義な行動をとるタイプの映画なのだが、そんな中で唯一筋が通っているのがニコラス・ケイジなのである。

 ニコラス・ケイジは「一晩このテーマパークをお掃除したら車の修理代はチャラにしてあげますよ」と言われ、それを受け入れる。オファー時に、彼はテーマパークのオーナーから「ちゃんと休憩もするのですよ」と言われたのを忠実に守ってアラームが鳴ったらエナジードリンクを一缶飲みゲーム機でゲームしあとなんか踊ったりもして休憩を取る。そしててきぱきお掃除をし、その一環として邪魔する殺人ロボットどもをぶち殺し(死体はちゃんとゴミ袋に詰める)、たとえ外に出られるチャンスがあっても逃げようとしない。若者たちが出してあげようとして「ここにいたら殺されるんですよ」と言ってもそんなものは無視である。だってお掃除をしないといけないからだ。彼の行動は首尾一貫していて、「車を取り返す」ことを目的として「掃除をし」「休憩をする」。「殺人ロボットを始末する」は「掃除」部分に含まれているわけである。筋の通った論理的な行動をするニコラス・ケイジが見ていて非常に気持ちがいい。このわけのわからん世界であなただけが理解可能です。

 しかしこの映画、せっかくニコラス・ケイジがこんなにも共感度マックスの男を演じてくれているのに、それ以外がまるで駄目なのである。まず殺し方が駄目。ケヴィン・ルイス(監督です)よ、お主ホラー畑の人間ではないな…と思ってIMDBをチェックしてみたら、案の定、犯罪サスペンス系が多い人のようである。これをもしホラー愛にあふれ見せ方が分かっている監督が血しぶきやグロにまみれたすんげえ殺し方満載で撮っていてくれていたら怪作になっていたかもしれないのに…と、それが残念である。しかしニコラス・ケイジは見てくれ。

 

ちなみに

 ・ニコラス・ケイジは劇中一切しゃべりません。

 ・ニコラス・ケイジニコラス・ケイジと連呼してしまったが、役名はThe Janitor(清掃員)です。本名もわからないのさ!