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私は私の好きな服を着る。「トール・ガール」

Netflixで「トールガール」を見た。

※内容に関するネタバレがあります。

 

 

予告編

 

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あらすじ

 

高身長に悩む女子高生の恋と成長を描いた青春ラブコメディ。ニューオーリンズで暮らす16歳のジョディは、幼い頃から自分の背が高すぎることにコンプレックスを抱えてきた。周囲からもずっとからかわれてきたため自分に自信を持てず、目立たないよういつも背筋を丸めて過ごしている。そんなある日、彼女のクラスにスウェーデンからの交換留学生スティグがやって来る。超イケメンで自分よりも背が高い彼に一瞬で恋に落ちたジョディは、コンプレックスを克服するべく立ち上がるが……。

 

感想

ジョディは自分の身長がコンプレックスで、目立ちたくないと思うあまりにいつも地味な服装をしている。それがスティグに恋したことで、ミスコンの女王である姉に助けを求めておしゃれをすることにする。それは「見られたくない」から「見られたい」への転換だ。その結果、いじめっこさえ彼女に目を奪われるようになる。これは一見ポジティブな変化のように見えるが、実はそうとばかりも言えない。「高身長ゆえに他者からの注目を集めたくない」も、「他者の注目を集めるためにおしゃれな格好をする」も、結局他者の目、他者によるジャッジにとらわれていることに変わりはないからだ。彼女はしかし、最後の最後でさらにもう一歩先へ足を踏み出す。「見られたい」から「見られようと見られまいと私は他人のために自分を変えはしない」という境地に彼女は至るのだ。ホームカミングに彼女が誰と一緒でもなく一人でやって来るのは、彼女が誰のためでもなくただ自分のために、自分のいいと思う姿に装っているからだ。ここで彼女が着ているのが、姉と母と一緒に服を買いに行った時に唯一彼女が自分でいいと思った(画面にははっきりとは映らない)あの服であろうことは想像に難くない。この物語がここに着地するのはすごくいいと思う。

 

好きなシーン

 

スティーヴ・ザーン演じるジョディの父親は、勝手に背の高い人たちの会合を自宅で開いたり(ちなみにこのシーンで登場するトール・クラブは実在する)、やたら会話に身長を持ち出したりと、娘のことを思っているのはわかるのだが空回りを続ける。しかし、約束をすっぽかしたスティグに本気で怒る車のシーンと、傷ついた娘にドアの外から呼びかけて一緒にピアノを弾くシーンはよかった。

 

ジョディが身長をコンプレックスにしていること、彼女がスティグに恋していることを知りながら、自分がジョディとつきあいたいからってスティグに彼女を諦めさせようとするのはどうなのダンクルマン、と思ったが、それを除いてはダンクルマンはいいキャラクターだと思う。あのプレゼントのシーンと最後の木箱の理由はきゅんきゅんした。

 

ちなみに

 

実在するトール・クラブの創始者はKae Sumner Einfeldtである。彼女はウォルト・ディズニー・スタジオで「白雪姫」の仕事もしたアーティストだった。1938年、彼女が高身長である事に由来する問題を話し合うため、背の高い人たちに連絡を募った記事がきっかけでトール・クラブが発足した。

 

 

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