映画を観る準備はできている。

映画についてのいろいろな話。

とにかく明るい青春ホラー「ザ・スイッチ」

※ネタバレがあります。

 

予告編

 ちょっと間違ってる気がするけど…(ミリーは殺されてはいないからね…)

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あらすじ

「透明人間」「ゲット・アウト」などホラー、サスペンスの話題作やヒット作を数多手がけるジェイソン・ブラムが製作、「ハッピー・デス・デイ」シリーズのクリストファー・ランドンが監督を務め、気弱な女子高生と連続殺人鬼の身体が入れ替わってしまったことから巻き起こる恐怖を描いた異色ホラー。家でも学校でも我慢を強いられる生活を送る冴えない女子高生のミリー。ある夜、アメフトの応援後に無人のグラウンドで母の迎えを待っていた彼女に、背後から指名手配犯の連続殺人鬼ブッチャーが忍び寄る。鳴り響く雷鳴とともにブッチャーに短剣を突き立てられたミリーだったが、その時、2人の身体が入れ替わってしまう。24時間以内に入れ替わりを解かなければ、二度と元の身体に戻れない。ミリーは新たな殺戮を企てるブッチャーを相手に、自分の身体を取り戻そうとするが……。「名探偵ピカチュウ」「スリー・ビルボード」のキャスリン・ニュートンがミリーに扮し、ブッチャーと入れ替わり後は手当たり次第に殺戮を企てる殺人鬼を熱演。一方、中身は女子高生で自分の身体を取り戻そうするブッチャーをビンス・ボーンが演じた。(映画.comより引用)

 

 

 

感想

 最初のブッチャーが若者たちを殺していくシーンから、ホラーファンとしてはいいね!となる。殺し方がそれぞれにエグい。エグくてオリジナリティにあふれている。あなたはホラー映画の殺しにオリジナリティを求めるタイプのホラーファンですか。私はそうである。前置き無しでいきなり殺戮シーンから入るのもいいね!

 しかし青春ホラーって、あまりにも主人公の周りの人たちがいい人過ぎると、殺された時に「いやーやめてー」となりませんか。この映画にも主人公と親友二人、主人公の片思いの相手、主人公の家族、などなどいい感じのキャラクターが多数出てくるのだが、「い、いや、まさかこの人たちが無残に殺されるなんて…そんなのやめてー」と思いながら見ていた。でも大丈夫。主人公は冴えないいじめられっ子なため、これまで主人公をいじめてきたイヤーな教師とか、イヤーなクラスメイトとか、イヤーな男子生徒とかがかわりに殺されてくれます。これで殺される人数が確保され、人が殺されてもそこまで嫌な気持ちにならず、なおかつ主人公周りのキャラクターを応援しながらこの映画を楽しむことができるのです。作り手はよくわかっていらっしゃる。

 個人的にはヴィンス・ヴォーンの女子高生演技にはちょっと誇張され過ぎじゃね?と感じこれ↓を思い出してしまった。まあこういうシチュエーションならこれくらい大げさな方がいいかもしれないんだけどね。

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 ラスト、よくある入れ替わりものなら「実は元に戻ってなくて…」殺人鬼が実は生きていた系なら「家族が皆殺しにされ主人公も捕まって…」みたいな絶望的なエンディングばかりが頭に浮かんでしまい、一体どうやって終わらせるのかな…と思っていたのだが、見せられてみたら「うんこれしかないよね!大正解!」なエンディングでよかった。ミリーは大柄な成人男性という「肉体的な強さ」を経験したわけだけど、でもこのエンディングで描かれているのは彼女が身に着けた「精神的な強さ」がそれに打ち勝つ姿であり、内気で引っ込み思案だった女の子が「私にもできる」という自信を手に入れる姿であって、これぞ正しい青春映画の在り方だと思いました。

 

ちなみに

 

・「黒人とゲイじゃ絶体絶命!」

 メタな台詞である。ジョシュ君…

 

・「話すのは早いと思ったけど…女性が好きだ」

 「それだけは絶対にないわ」

 こんなカミングアウトシーン(嘘だけど)見たことないぜ。ジョシュ君...。

 

・今作で実に生き生きとジョシュを演じているミシャ・オシェロヴィッチだが、実はここに至る道は平坦なものではなかった。こちらのインタビューでは十五才の時、夜中に両親の雇った二人の筋肉質の男性によって何の説明もなしに家から連れ出され、青少年の矯正施設に連れて行かれた(!)体験について語っている。ミシャはノンバイナリーをカミングアウトしており、現在自伝的な作品に取り組んでいるとのこと。幸運を。

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