映画を観る準備はできている。

映画についてのいろいろな話。

「ハリー・ポッター」/「ファンタスティック・ビースト」の出演俳優によるトランスジェンダーの人々をサポートする言葉まとめ

やあみんな!いつもは主にホラー映画の感想をマイペースに投稿しているherve_guibertだよ!なんかTwitterができなくなるかも…という不穏なニュースが流れてきたんで、残ってほしい情報をブログ記事として残すことにしたよ!

残ってほしい情報は主にトランス差別に関するいろいろな人の言葉です。ではさっそくいってみよう。

 

第一弾は、ハリー・ポッター」及び「ファンタスティック・ビースト」の映画の出演俳優が、トランスジェンダーの人々をサポートした言葉です。

 

1.エマ・ワトソン


「トランスの人々は自分でそうだと言っている存在であり、常に疑われたり、あなたたちは自分でそうだと言っている存在ではないと言われることなしに生きるに値します」

「私のトランスのフォロワーたちに知ってほしいのは、私が、そして世界中のあまりに多くの人々が、あなたを見て、敬意を持ち、あなたがあなたであるために、あなたを愛しているということ」

 

2.ダニエル・ラドクリフ

LGBTQの若者の支援団体、The Trevor Projectに貢献してきたダニエル・ラドクリフはこう語った。 「(ローリングの)本を読んだ体験が損なわれた、傷つけられたと感じているすべての人へ。僕はこれらのコメントがあなたたちに苦痛を与えたことを非常に残念に思います。僕が本当に願うのは、これらの物語の中であなたたちにとって価値のあったものを、あなたたちがまるごと失ってしまわない事です。もしこれらの本があなたに、愛とは宇宙で最も強い力であり、何ものをも乗り越えることができるのだと教えたのなら。力とは多様性の中に見出され、純粋なものを押しつける考えが傷つきやすい集団の迫害に通じると教えたなら。もしあなたが特定の登場人物をトランス、ノンバイナリー、ジェンダーフルイドであると、あるいはゲイ、バイセクシュアルであると信じるなら。もしあなたがこれらの物語の中にあなたを共感させるものを見出し、それが人生のいかなる時にもあなたを助けてくれたなら―もしそうなら、それはあなたとあなたの読む本の間にあるもので、神聖なもの。僕の意見では何ものもそれに触れることはできない。それが意味するのは、それがあなたにとって意味することで、これらの(ローリングの)コメントがそれを汚しすぎないようにと願っています。

www.thetrevorproject.org

 

3.ルパート・グリント

これはロン・ウィーズリールパート・グリントの声明を報じたもの。 「僕は断固としてトランス・コミュニティを支持します」 「トランス女性は女性です。トランス男性は男性です。僕らはみな愛と共に、非難を受けることなく、生きる権利を有するべきです」

t.co

 

4.エディ・レッドメイン

こちらは「ファンスタスティック・ビースト」のエディ・レッドメインのコメント。 「僕はジョーのコメントに反対です。(中略)僕は決して(トランスの)コミュニティの代わりに語りたくはありませんが、親愛なるトランスジェンダーの友人たち、同僚たちが自分のアイデンティティを常に疑問視され、それが頻繁に暴力や虐待をもたらすことにうんざりしているのは知っています」

variety.com

5.イヴァナ・リンチ

こちらはルーナ・ラブグッド役のイヴァナ・リンチの言葉。 「私の想像では、トランスであって、自分を受け入れ、愛することを学ぶだけで十分大変で、だから私たちは社会としてその苦しみを増すべきじゃない。自分が溶け込んでいない、自分自身であるために受け入れられないと感じるのは人間が体験できる中で最悪で、最も孤独な感情で、私はトランス女性やトランス男性をこれ以上隅に追いやるのに手を貸したりはしません」

 

www.independent.co.uk

6.ケイティ・ラング

チョウ・チャン役、ケイティ・ラングは、そもそもローリングによるマイノリティの描き方が問題であるという論争が再燃した時に論点の一つに挙げられた。彼女の見事な(という他ない)ツイートがこちら。 「チョウ・チャンに関する私の考えが知りたい?オーケー、こうだよ…(スレッド)」

7.ノーマ・ドゥメズウェニ

舞台でハーマイオニーを演じたノーマ・ドゥメズウェニは著名なトランス女性の名を列挙し、こうコメント。 「私は自分を尊敬するように、私の人生におけるトランスの友人たちを尊敬する。私は彼女たちの抹消ではなく、生きた経験に従う。そしてそれは女性であるということ!」

https://www.buzzfeed.com/eleanorbate/harry-potter-katie-leung-jk-rowling-anti-trans-response

 

どれも、ローリングにダメージを与えられた人々の側に立った言葉だと思う。「ハリー・ポッター」のファンの中には、トランスの人々もいた。どうかそれを忘れないでほしい。

 

 

ゾンビ映画はこうじゃないと。「YUMMY ヤミー」

※ネタバレがあります。

※本編に短いですが性加害描写あり。

 

予告編

日本版予告編があるのだが、かなり映画本編を見せてしまっているので貼りません。

 

あらすじ

 減胸手術を受けるアリソンは、付き添いの恋人ミカエル、美にこだわりを持つ母と共に美容整形で多大な人気を誇る病院に向かう。しかし思わぬことがきっかけで病院はゾンビの巣窟になってしまうのであった。

 

感想

 最近バッドなホラー映画ばっかり観ていたのだが、これはいいです。テイストとしてはホラーコメディなのですが、いろいろ印象に残る痛そうなシーンをやってくれていて、ホラー映画ファンとしては「いいぞいいぞ!もっとやれ!」と応援したくなるところ。ゾンビウイルスが全身に回らないよう、噛まれた腕を切って!切ってええー!とやってるところに斧の刃の部分がすっぽぬけてしまい、「切るもの!なんか切るものおお!」と探し回った挙句××に頼るシーンなど、いいですね。意味なく裸のシーン入れるな…と思ったら、それは伏線で、真に監督がやりたかったのは××が酷い目に遭うところだったのさ、というシーンもあるのですが、しかし××(ええ、ホラー映画の中で酷い目に遭うことが多い××です。ちょっと伏字でないと書けないです)が××であるがゆえにぼかしが入り、それもペンで適当にぐるぐるっと線を書いたようなぼかしで、要するにうっかり「ぎゃー!」な目に遭った××がその後更に悲惨な目に遭いぼとっと落ちる、その一連の「ぎゃー!」を我々はらくがきのようなぼかし入りでしか見ることができない、それが不満と言えば不満でしょうか。いえ××自体はどちらかと言えば見たくないのですが、見えていたらもっと笑えたと思うのです(笑うんかい)。

 それから特筆すべきは恋人ミカエルがまーどんくさいやつなんですね。血液恐怖症(!)でことあるごとにゲロを吐き、ゾンビに襲われて振り上げた棒が電線?に触れ感電して気絶したり、「いやそこはお前が代わってやれよ」ってところでも彼女のアリソンにまあひでーことをやらせてしまうし、よくよく考えたらすべての元凶はこいつなんですよ。唯一役に立ったのは眼鏡を割ってざりざりしたところ、あそこだけなんです。果たしてアリソンとミカエル、この二人は最後まで生き残れるのか…ちなみにこのエンディング、私は大好きです。やっぱゾンビ映画はこうじゃないとね!

ケッ作なのは邦題だけだぜ!「呪い襲い殺す」

 

※ネタバレがあります。

 

予告編

www.youtube.com

 

 

 

あらすじ

欧米版こっくりさんとも言える降霊術の占いボードゲームウィジャボード」を題材にしたオカルトホラー。女子高生のレーンは友人デビーの突然の死に疑問を抱き、友人たちを誘ってウィジャボードで彼女の霊を呼び出そうとする。ところが、古い亡霊ボードに眠っていた邪悪な力を呼び起こしてしまったことから思いがけない事態に陥ってしまう。主演は「シグナル」のオリビア・クック。共演に「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 魔の海」のダグラス・スミス。「トランスフォーマー」シリーズのマイケル・ベイと「パラノーマル・アクティビティ」シリーズのジェイソン・ブラムが共同プロデュースを手がけ、「ブギーマン」「ポゼッション」などの脚本に参加したスタイルズ・ホワイトが初メガホンをとった。(映画.comより引用)

 

感想

 原題は”Ouija”。あの西洋版こっくりさんのような、霊魂と交流するゲームをする時に使う、アルファベットや”Yes””No”が書いてあるボード、と言えば、映画などで見たことのある人もいるのではないだろうか。あのボードをOuija(ウィジャ)といい、この映画はその名のとおり、浅はかにウィジャで遊んで霊魂を呼び出してしまった高校生が霊に殺されたり、殺されないように頑張ったりする映画である。

この映画、どこが凄いかと言うと、邦題が凄い。この映画に「呪い襲い殺す」という邦題をつけた人、その発想は” The Evil Dead”→「死霊のはらわた」、”The Texas Chain Saw Massacre”→「悪魔のいけにえ」を考えた人の高みに達しているのではないだろうか(ほめ過ぎかもしれぬ)。ぶっちゃけた話、ケッ作なのは賛否両論のこの邦題のみである。筆者は最近「疲れてるのでバッドなホラー映画からしか得られない栄養素を摂取したい」サイクルになっているが、この映画のおかげで「もう…バッドなホラー映画はいい…もうたくさんです…」な気持ちになり、そのサイクルからも抜け出せそうだ。バッドなホラー映画評を書く時毎回言っているような気がするのだが、監督です…監督が問題なのです…お願い、もっと愛をもって印象的なキルシーンを見せて! 明日になれば忘れてるような腑抜けたのは要らんのです! ジャンプスケアもいいよ! どんどんやって! われわれびくっとしたいのよ! ホラー映画ファンってそういう生きものなの! たとえば「オーメン」の荘厳な雰囲気漂うキルシーン、最高じゃないですか。今でもはっきり思い出せるじゃないですか。「ヘレディタリー 継承」のあのシーンとかあのシーンとかも最高に最悪で記憶に焼き付いちゃってるじゃないですか。本作にはそういう、「本気で怖いシーンを撮ってやろう」という気概がないんですよ。キルシーンも死んでんだか死んでないんだかわからないようなやつがあったり、死体さえ映らなかったり、ただただインパクトに欠けたり、ダメダメなやつばっかりなんです。一番面白いのは「呪い襲い殺す」という邦題、ただそれだけ。これもまた残念ながらそういうバッドなホラー映画なのでした。

 

ちなみに

・このようにバッドなホラー映画である本作だが、理解できないことに興行収入は決して悪くなく、なんと米国では初登場一位で、世界興収は一億ドルを超えている。

 

www.boxofficemojo.com

 

 

・↑このように興行成績が悪くなかったため、プリクエルとして” Ouija: Origin of Evil”が作られた。ぶっちゃけ「サイレンス」などホラー映画を撮り続けているマイク・フラナガンが監督したこちらのほうが世間の評判はいい。

 これが予告編だよ!ちなみに邦題は「ウィジャ ビギニング 〜呪い襲い殺す〜」だよ!そこは「呪い襲い殺しはじめる」とかにしようぜ!

 

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人<サメ<姉妹!「海底47m古代マヤの死の迷宮」

※ネタバレがあります。

 

予告編

www.youtube.com

 

 

あらすじ

 

海に沈んだ檻の中で人喰いサメの恐怖と対峙する姉妹の姿を描いた海洋パニックスリラー「海底47m」続編。前作と同じく姉妹がサメと戦います。

 

感想

 クレジットの最後の方で、テロップが流れます。「本作の撮影でサメは傷つけられていません」「サメに殺される人は年間10人に満たないが、人はサメを年1億匹殺している」みたいなやつです。ここで私は思いました。「ヨハネス・ロバーツ(監督ね)、おぬしさては…人間よりもサメが…好きだな…?」

 まあパニック映画の定石ですが、本作の主人公グループは本来の予定を変更して誰にも告げずに「秘密の名所」に出かけ、よしゃあいいのにたまたまそこにあったダイビング用具を使って水中にあるマヤの遺跡を見に行きます。そしてよしゃあいいのに珍しい魚に手を伸ばして威嚇され驚いた隙に石柱を倒してしまい、はるか昔の文明を今に伝える貴重な遺物を破壊してしまうのです。ああなんと愚かな人間たち。そしてヨハネス・ロバーツにとっては愚かな人間<サメなので、以降主人公グループはサメに狙われることになります。浅はかにも遺跡の場所を主人公グループのひとりに教えたヤツがその報いを受けるかのようにバックリいかれてしまうのを皮切りに、次々と餌食になっていく愚かな人間たち! 中にはあの人とかあの人とかたいして悪いことなどしていない人もいるような気がしますが、まあ細かいことはいいのです。ヨハネス・ロバーツにとっては人間<サメなので。

 しかしヨハネス・ロバーツにはサメの他にもう一つ好きなものがありました。そうです。姉妹です。

 最初「海底47m古代マヤの死の迷宮」というタイトルを聞いた時は「あーまたちょっとヒットしたからなんかサメが出てる映画にそれっぽい副題つけてシリーズっぽくしたなんちゃって続編なんだなー」と思ったものですが、驚くなかれ、本作は実は「海底47m」の正式な続編であり、英題は第一作の“47 meters down”に対して本作は” 47 Meters Down: Uncaged”です。そして更に驚くことには、本作の何が” 47 Meters Down”なのかはさっぱり説明されないのです。水中にある遺跡が海底47mにあるんじゃない?と思ったそこのあなた、気持ちはわかります。気持ちはわかるのですがそんな設定はないのです。それなのに前作と本作がなぜシリーズなのか? そう、キーワードは「サメ」と「姉妹」です。このシリーズに共通のフォーマット、それはサメとの戦いを通して描かれる姉妹の絆なのです。いじめっ子にプールに突き落とされてもやり返すこともできなかったミアがサメとの戦いを経てサメをぶっ刺して退散させる強さを獲得して姉を助ける姿、それが監督が描きたかったものなのです。人間<サメ<姉妹という個性を持った監督、それがヨハネス・ロバーツなのです。

 

ちなみに

 

 ・ミアの父親役、どこかで見たなーと思ったら「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」のイアン役、ジョン・コーベットですね。なるほど。

 

 ・いつも映画.comからあらすじを引用しているが、キャストをやたら「○○の娘」みたいに呼んでいるので今回はやめました。私はそういう時は「××の父親は誰々である」と書くことにしているので…

あまり有名じゃないがおすすめのホラー映画三本を紹介するよ。

 

最近あまり体調が良くない。だから気分の上がることをしようと思う。そう、あまり有名じゃないがお気に入りのホラー映画を紹介する、などである。

 ではさっそく行きます。

 

 

 

1.「ワナオトコ」

予告編はこちら。

 

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あらすじ

「ソウ」シリーズの脚本を手がけたマーカス・ダンスタン&パトリック・メルトンによるホラー。かつて金庫破りをしていたアーキンは現在は内装業者として真面目に働いていたが、元妻の借金を肩代わりするため、仕事を請け負った金持ちの邸宅に空き巣に入ることに。ところが、忍び込んだ邸宅には先に侵入者がいた。気づいた時にはすでにドアや窓は完全に封じられており、逃げ場を失ったアーキンは、謎の侵入者が仕掛けた無数の残虐な罠に怯えながら脱出を試みるが……。(映画.comより引用)

 

紹介

 まず予告編にツッコミを入れると、アーキンさんは強盗じゃないよ!原文でも普通に「泥棒」と言ってます。あらすじからわかるように、昔は金庫破りをしてたんだけど今は真面目にやってるんですよアーキンさん。でも仕方のない理由があって金持ちの家に盗みに入ることになる。しかしそこにはやたら罠を張るのが好きなキラーが先に侵入していたのだった。どうするアーキンさん!ホラー映画史上まれにみる運の悪さと人の好さを誇るアーキンさんが頑張ります。演じるジョシュ・スチュワートが絶妙に薄幸そうな顔をしていて、余計に応援したくなるのでした。

 ちなみに全然続編だとわからない「パーフェクト・トラップ」っていう邦題になってしまった続編もあるぜ!実は3も予定されていたのだがよくわからない理由で中止になってしまったらしく悲しいところである。

 

これが「パーフェクト・トラップ」の予告編だよ!一部ではクラブに仕掛けられた豪快なトラップが話題になったよ!日本版が発見できなかったのでオリジナル版。

www.youtube.com

 

2.「11:46」

 

予告編

 

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あらすじ

精神科病棟で働く若い看護師カレン。彼女が乗り込んだ最終の地下鉄電車が惨劇の場と化した。生き残るべく必死の抵抗が始まるが……。イロナ・エルキン、ニコラス・ライト共演によるカナダ発クリーチャー・ホラー。(TSUTAYAディスカスより引用)

 

紹介

地下鉄というホラーと相性のいい舞台で、突如人を殺し始める宗教団体!人々は逃げまどい、反撃し、なんとか生き残ろうとするが…

 これはボーイスカウトみたいな制服で人を殺し始める宗教団体の人々が不気味で本当に怖かったし、殺人の理由もいい。「28週後…」を観た後のような絶望感を味わえるよきホラーです。

 ちなみに本作が評価されたモーリス・デヴュロー監督ですが、IMDBによるとこれ以降監督作がない様子。なぜだ…

 

3.「 スナッチャーズ・フィーバー 喰われた町」

 

予告編

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あらすじ

恐ろしい「何か」に侵食された町に足を踏み入れた若者たちが体験する恐怖を、緊迫感たっぷりのリアルな映像で描いたカナダ製スリラー。映画学科に所属する4人の学生たちが、とある田舎町へ取材にやって来る。早速カメラを回しはじめるが、住民たちの様子がどこかおかしい。やがて学生たちは、恐ろしい力を持つ「何か」が世界を乗っ取ろうとしていることに気づく。出演は「コリドー」のマシュー・エイミオットほか。カナダのアトランティック映画祭で最優秀監督賞をはじめ4冠を獲得。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2016」上映作品。(映画.comより引用)

 

紹介

 予告編にあるただ笑っているだけのレジ係の女性とか、少しだけどこかヘンで、でもどこがヘンなのかはよくわからない、みたいな不気味さ。映像がざらついて綺麗じゃないので余計リアルな感じに見えて更に怖いのです。予告編のこちらに後ろ姿を向けた女の子のシーンとか、怖くないですか?というかこの予告編が既にもう怖くないですか?本編は(当たり前ですが)予告編より怖いです。これもまたホラー映画ファンなら大好物なはずの絶望感を味わえる小さな逸品です。

 ちなみに監督はこの映画の5年前に短編版も撮っており、いくつかのシーンは長編版にも登場します。この短編版がまた怖いんだよう。10分しかないのでぜひ。残念ながら字幕はなし。

 

www.youtube.com

というわけで、お気に入りの「あまり有名じゃないがおすすめのホラー映画」でした。第二弾もそのうちやるような気がします。それでは。

 

 

アイデアはいいと思うんだけどな…「アトラクション」

※ネタバレがあります。

 

予告編

日本版もオリジナルも、見せ場を見せまくりの総集編のようなものになってしまっているので貼りません。

 

あらすじ

“ホラー”をテーマにしたアミューズメント・パークにマスク姿の連続殺人鬼現る!! 楽しいはずの時間はいつしか本物の恐怖に….

ハロウィンの季節。大学生のナタリーは幼馴染のブルックを訪問し、ブルックのルームメイトのテイラー、そして彼女達のボーイフレンド達と共に、“ホラー”がテーマのアミューズメント・パーク「Hell Fest」へと繰り出す。楽しい夜になるはずだったが、数々のアトラクションに紛れ込む形で一人のマスク姿の連続殺人鬼が現れ、次第に「Hell Fest」は殺人鬼の血みどろの「狩猟場」へと化してしまう.....(公式サイトより引用)

 

 

 

感想

 この映画、90分もないのである。しかしそれなのに途中がだれる。アトラクションの中、主人公の眼前で二人目の被害者が殺された後、パークの中をうろついて遊ぶ主人公グループにけっこう時間を割いているため、次が殺されるまでが長くて、ここでまずちょっとううむ、となってしまった。主人公グループから犠牲者が出はじめても、基本的に殺し方が「刺すだけ」なのであまり面白くない。ギロチンのくだりなどはやりようによっては面白くなっただろうになあ…と残念に思った。せっかく「一回刃が落ちるが首がちゃんと切れない」というのをやったのだから、もっと印象的なゴアな感じにできたはずだぜ…仮面の男の仮面はけっこういい感じに不気味だし、同じ格好をしたパークの従業員がいっぱいいるというのももっと活かせたはずだし、ぶっちゃけた話主人公が逃げ回るアトラクションのほうが怖かったりする(人間の腕が無数に突き出ている壁の間を通らなければならないがその腕が動き始める、とか)。「目の前で殺人が起きてもアトラクションの一部だと思い込んでしまう」アイデアももっと取り込んでもよかったのではないだろうか。割と簡単に殺人者がいることがばれてしまってセキュリティが動きだしたりするので、最後までみんながアトラクションだと思い込んで誰も助けに来ないくらいでよかったんじゃないかなあ、と思ったりする。個人的に一番ひいい、となったのは最後のシーンだった。おおう、××のいる殺人鬼ってあんまりいないような…

 しかし、トニー・トッドがホラー映画にカメオ出演しているのを見るのはいつでもいいものである。

私の好きそうな映画なんだけどなあ…「ブラック・クリスマス」

※ネタバレがあります。

 

予告編

日本版予告編を見たらかなり終盤の展開をばらしてしまっており、オリジナル版も似たようなものだったので貼りません。

 

あらすじ

1974年のカナダ映画暗闇にベルが鳴る」を、「グリーンルーム」のイモージェン・プーツ主演でリメイクした青春ホラー。クリスマス休暇を満喫する大学生たち。そこへ不気味な覆面を被った殺人鬼が現れ、学生たちを次々と惨殺していく。女子学生のライリー、クリス、マーティ、ジェシーの4人はおびえながらも、武器を手に取り殺人鬼と戦うことを決意する。共演に「ソウ」ケイリー・エルウィズ。「ゲット・アウト」のブラムハウス・プロダクションズが製作を手がけ、「ブラック・ビューティー」のソフィア・タカールがメガホンをとった。(映画.comより引用)

 

感想

 たとえば「ゲット・アウト」は人種差別という社会問題をテーマにしながらホラー映画としてもとても恐ろしく作られた傑作だった。「ブラック・クリスマス」ははっきりとフェミニズムをテーマにしたホラーである。そして私は女性差別に反対するホラー映画ファンである。いかにも私が好きそうな映画ではありませんか。しかし残念ながらそうはいかなかったのである。この映画、フェミニズムをテーマにした映画としてもホラー映画として問題ありありではないか…

 「エルム街の悪夢(2010)」で語ったことをここでもくり返さねばならないようだ。問題は監督である。本当に身も蓋もねえな!

 

 この監督はホラー演出にあまり興味がないようである。中盤でいきなり弓が飛んでくるシーンくらいしか「ひいっ」とさせてくれるところがなかった。また、犠牲者たちの亡骸を極力見せないようにしている感がある。ホラー映画とそこに出てくる女性との関係を真剣に語るとなると一冊の本を書く必要があると思うのでここではふわっと語るに留めるが、恐らく無残に殺される女性を消費したくなかったのではないだろうか…と想像する。しかし無残に殺される女性をフェティッシュに描かなくても恐怖は描けるはずだ。そしてホラー映画ファンはびくびくしながら映画を観たいのだ。悪役の仮面の男たちがいまいち怖くないのがいけないんだと思います。こいつらがもっと怖かったら反撃シーンでもっとすかっとしたはずなのだが…

 そして、フェミニズムをテーマにした物語として。この物語の主人公ライリーが自らの性被害をネタにして加害者を告発するショーを披露する場面がある。元々は友人たちが出演するはずが、一人が出られなくなりライリー自身が代役を務めることになる。ショーが行われる場所には彼女を加害した犯人の男もいる。ライリーは出演を嫌がるが、友人のクリスはそんな彼女に「逃げちゃだめ」だと言ってショーに出るように言う。

私はこのクリスの言葉に賛同できない。被害者に、加害者といる場所に出て行って「戦う」ように他人が言うことは二次加害になりかねないのではないか。本人がそれをやりたがっているのでサポートする、というのならわかるのだが…そして後にライリーがこの件について「私は嫌だったのに」と怒るシーンがある。そりゃあ怒るよね…と思っていたら終盤、恐らくはこれを受けてライリーはクリスに「私が戦うべきだったのに」と謝るのである。

いやいや待て待て。ライリーが「私は嫌だったのに」と怒る場面の後に、ライリーとクリスが車で逃げだして、「警察に行こう」と言うクリスに対しライリーは「仮面の男どもを操る黒魔術を破るためなんかわけのわからん石像をぶち壊しに行こう」と言うんですよ。警察は彼女が性被害に遭った時信じてくれなかった、自分で動くしかないと。でもクリスは同意しなかったので、ライリーは一人で仮面の男どもの本拠地に向かうのです。黒魔術とか、石像とか、わけのわからんのはわかりますよ。でもそれって本当に、まんま性被害の訴えを信じない警察その他のアカン態度を、友人であるクリスがくり返してしまっているわけです。クリスはライリーを一人で戦わせたんだよ。戦わなかったのはあんただよ。クリスが最終的にはライリーの言葉を信じたから最後には援軍を引き連れて助けに来てくれたのはわかるんですよ。でもね、ライリーが一方的にクリスに謝るのっていうのは違うと思う…もやっとするぜそこはさ…

というわけでフェミニズム映画としてもホラー映画としても賛同できない映画でしたね…

 

ちなみに

 

・まんま「ノットオールメン」をめぐる議論みたいなところがあるのだが、本当にNot all menと言うので「本当にノットオールメン言うた…!」という謎の感動を味わえたぜ。

ノットオールメンについてはこちらをどうぞ↓

 

www.ellegirl.jp

 

 

・終盤のシーン、字幕では「君が決めろ」となっている台詞は、英語ではYour body, your choice。人工妊娠中絶規制への反対のスローガンにもなっているMy body, my choiceのもじりであろう。

www.wwdjapan.com